創作術について

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構想 

3構想の作り方



 人それぞれに考察する項目には差があるだろうけれども、私は以下の要素を考えに入れるようになりました。具体的には以下。個々の必要性については2で少し語ったので割愛。

1 創作の目的
2 テーマ
3 話の雰囲気
4 登場人物
5 世界観とか話の舞台
6 文体
7 人称と視点
8 分量
9 対象者
10 描写のポイント
11 ウリ
12 クライマックスの表現
13 あらすじ
14 モチーフとなるアイディア

 この他に、人によっては「歴史」とか「タイムテーブルや年表」が入ったりすると思います。私は作中の時間の動きが短期間であることが多いので、タイムテーブル作りは不要だし、苦手です。あった方が安全ですけれどね。
 私が14項目考えるからといって、誰もがそんなに考える必要もないと思います。私だって遊びでは、4から12まで一気に抜いてしまって、気楽に作ります。いや、すごいときは、2のテーマだけで作ったりします。もう気分創作です。ただひたすらに自己満足です。
 ウェブであげるだけなら、構想そのものもいらない場合だってある。ただ、何かを作って人に渡すときとか、その話を何かに利用する時には、目的に沿った考察を入れておかないといけないかなーとは思います。

 何を考察するかを決めたら、構想を練る。どうやって作っていくか。
 構想を練る、だなんて、かっこいいことを言ってるけれども、私の場合は「穴埋め」から始まります。14項目を適当に埋めていくのです。思いついた順番に。
 私の場合、大抵は、1か2の目的論から始まります。
 目的が決まったら、14のモチーフを決めて、3の雰囲気を適当にいろいろ組み合わせて空想しながら、事務的に789を埋めていきます。明るい/暗い、冷たい/温かいなどのイメージとか、ファンタジー/怪奇ミステリ風とか、これらの雰囲気に合わせて、文体も懐古風とかハーレムラノベ風とか神視点幻想小説風味などとつけていきます。
 11は3つ箇条書きにできるまで自分の利点を考察します。もしくは自分がその時に読みたい「萌え」をウリに入れ込む。つまり、読者に提供するエンターテインメントの考察です。一番の読者は自分なので、自分が喜ぶポイントを3つ用意します。3つぐらいあれば、自分とはタイプの違う読み手にも何か一つぐらいはお届けできるというわけです。
 12のクライマックスは13のあらすじと共に考察して、明言しておきます。私の場合は、あらすじをたててから、4と5の考察を始めます。人によっては、魅力的なキャラクターを作ってから、その人物を生かすようにあらすじを作る場合があると思いますが、私は登場人物をいつでも殺せる距離で維持したいので、最初から入れ込まないように作ります。
 ここまで作れば、完成品のイメージが明確になっているので、空欄を埋めて全体的なイメージを統一していきます。

 ここまでが大まかな設計です。
 この後、構想を練る、というにふさわしい手順が繰り返されます。あらすじは最初に起承転結で簡単に作っておきます。その方が、起点と結点の調整をあとで見つめやすいからです。起で提示されるのは、結のアンチテーゼになっている場合が多いので、そこが明確に表現できているか、あとで推敲の時に考察しやすいようにしておきます。
 つまり、簡単な筋が一本に見えていないと、ぐちゃぐちゃしていて何が大事だったのかを忘れます。作者も面倒になって「あれー、これでいいのかなー、なんとなくかっこよく終わったからいっかー」となってしまいます。でも、他者から見たら「何が言いたいんだろう」という話になるので、とにかく、最初はシンプルに設計を作っておく。
 具体的な展開の指示は後でも肉づけできるのです。
 だから、私は第二プロットで設計案をさらに加えていきます。やり方はひどく単純で、起の部分をさらに起承転結で作る。承の部分をさらに起承転結で作る。転の部分を……以下略です。
 ここから先の話は「準備」の部分につながるのですが、具体的に資料を調べたり、あらすじにみあった人物設計をしつつ、人物相関で矛盾する部分を見つけたり、またそれを直したり、説明し直してうまくごまかしたり、考えているうちに使いたい文体が変わったり、主人公の人称が変わったり、視点を変更してみたりという作業を経て、プロットが次第に固まってくるというわけです。
 一発で計画書の作成を終え、さあ、さっさと作ろう!と思っても、考察を深めていないと、実は意外と書き出しに迷います。構想の作業は手間ですが、きちんとやっておけば、冒頭の書き出しが楽になります。本当は、冒頭の一文を書きだすための準備運動なのではないか、と思います。
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